事例紹介<在宅ワーク発注企業>
株式会社Speraluce
私が在宅ワークを始めたのは約10年前です。在宅ワークを始める前は、システムエンジニアとして働いていました。しかし、拘束時間の長い仕事は継続が難しいことから、結婚・出産を機に退職し、ブランクを経て在宅ワークを始めました。その後、埼玉県が主催する在宅ワーク就業支援事業の「ビジネスマッチング交流会」に参加し、現在も取引のある会社や在宅ワーカーたちと出会いました。
ある時には、業務拡大のため在宅ワーカーを増員する取引先の依頼で、在宅ワーカー代表の面接官としてビジネスマッチング交流会に参加したことがありました。そこで出会った在宅ワーカーとは、その後も仕事を通して信頼関係を築き、今も一緒にお仕事をさせてもらっています。
当社の在宅ワーカーの活用方法は、一般的な企業と少し異なるかもしれません。起業をするにあたり、新しく在宅ワーカーの募集はしていないからです。私が仕事を発注している在宅ワーカーは、今まで一緒に働いてきた方々です。長い方では約6年のお付き合いとなっていて、お互いのスキル、仕事の進め方、コミュニケーションスタイルも熟知しています。
一方で、新たな在宅ワーカーとの出会いも模索しているため、最近はビジネスマッチング交流会に出展しています。今はまだ、面談した在宅ワーカーに仕事を発注するまでには至っていませんが、今後の業務拡大や受注内容にあわせて発注を検討していきたいです。
まず、在宅ワーカーに必要なものはコミュニケーション力です。在宅ワークは、文章でのやり取りがメインとなるため、自分が書く文章に細心の注意をはらえることが大切です。さらに、仕事を受注した後のやりとり、質問、進捗状況などの「報告・連絡・相談」をどれだけスムーズにできるか、ということもとても重要です。
それに加えて、お客様のためになる提案ができる利他精神がとても大切です。これは、共に仕事をしていく上で専門的なスキルより重要な部分だと考えています。
もし、これから在宅ワークを始めようという方で、インターネットでの仕事探しが難しいようなら、ビジネスマッチング交流会に参加してみてください。実際に会ってコミュニケーションを取ると、人となりをより知ってもらえますし、その後のコミュニケーションもスムーズになります。
私が共に働く在宅ワーカーに、いつも伝えていることがあります。それは、私たちにとって一番大切なものは「家族との時間」だということです。
これは、私が以前在宅ワーカーとしてある案件を担当していた時の話です。当時はまだ子どもが小さかったため、毎日寝かしつけをしていましたが、時にはミーティングが夜の22時に及ぶこともありました。ある夜、仕事が終わらなかったため、子どもを寝かしつけずに仕事を優先したところ、子どもに「ママ!お仕事禁止!」と言われてしまいました。その時ふと、「あれ?私は何のために在宅ワークを始めたのだろう」という気持ちになりました。もちろん育児を優先させると仕事は中断せざるを得ないのですが、子どもの前ではなるべく仕事はしてはいけないなと感じたのです。
この経験があったため、私が在宅ワーカーに仕事を発注する時は、まず家族の予定を決めてもらうようにしています。そして、不測の事態が起こった場合を想定し、その方が60~70%くらいの力で業務を遂行できる納期を定めます。例えば、育児や介護をしている在宅ワーカーが、100%の力で取り組み、1週間で納品できる仕事があったとします。私はその場合、納期は1週間ではなく2週間で設定してもらうようにしています。そうすることで、例えば家族が発熱するなど想定外なことが起こったとしても、納期遅延を回避でき、発注元のお客様の信頼を維持することができます。また、何も起こらなければ早く納品できることで、お客様満足につながります。
私は一緒に働く在宅ワーカーに対して、他社の案件を受ける場合であっても、仕事の進め方や納期に関しては家族を優先とした考え方でのぞむことをすすめています。
在宅ワーカーに仕事を発注するメリットの一つは、教育時間の短縮です。在宅ワーカーは、専門スキルを保有しており、企業が求めるスキルと合致すれば即戦力として活躍してくれるはずです。
企業が初めて在宅ワーカーに仕事を発注する際は、実績のある方を選ぶことをおすすめします。仕事を発注する企業と、受注する在宅ワーカーが、共に初めて経験する業務の場合、進め方やコミュニケーションの取り方に不安が生じやすいです。そこから思いがけないリスクにつながる可能性もあります。実績のある在宅ワーカーに仕事を発注することで、スムーズな業務進行が可能になるはずです。
また、企業にとって大切なことは、在宅ワーカーは社員でも部下でもなく、あくまで仕事のパートナーであるということを念頭においたコミュニケーションを取ることです。加えて、仕事の進め方や納期などはよく話し合い、何か不測の事態が起こっても対応できるよう、余裕を持ったスケジュールで発注することがとても大切です。もし発注後に納期に間に合わないことが判明した場合は、進捗内容を確認した上でこちらで引き継ぐこともあります。そういったバックアップ体制があると、お互い安心して業務に取り組むことができ、お客様に質の高い仕事を提供できます。
相互信頼に基づいた在宅ワーカーの活用は、企業に生産性向上とコスト削減をもたらします。また、在宅ワーカーにとっても、実績を積むことができ自身のスキル向上や信頼性の向上につながるでしょう。
インタビュアー:青島はるみ