事例紹介<在宅ワーク発注企業>
株式会社キャリア・マム
法人事業部で営業を担当しているIさんにお話を伺いました。

キャリア・マムは1995年に創業しました。代表の堤は女性で、大学時代からフリーアナウンサーとして活動していました。結婚出産を経て家庭に入りましたが、仕事に復帰したいという思いが大変強くありました。当時はまだ、女性が子育てをしながら外勤のフルタイムで働くことが難しい時代でした。そこで、子育てや介護を理由に外に出て働くことが難しい女性でも、自宅にいながら社会とつながって自分らしく働くことができれば、より良い社会を作れるのではないかと考えました。こうした思いから在宅ワークの仕組みを整えキャリア・マムを立ち上げました。
このような経緯により、当社はコロナ禍以前から在宅ワークを浸透させ、その先駆的な役割を担うことができたのではないかと思います。
現在当社に登録している在宅ワーカーは11万人、そのうち月に1回以上継続的に仕事をしている在宅ワーカーは約3,000人です。北海道から沖縄まで全国各地に在籍者がいます。地域によっては「このエリアの方にお願いしたい」という案件もありますが、基本的には在宅ワークのため、東京の企業の仕事を沖縄の方が担当することもあります。多様なスキルや経歴を持ち、多岐にわたる業務を遂行してくれる在宅ワーカーは、当社にとってなくてはならない存在です。
在宅ワーカーが担当している業務は多岐にわたります。ライティングやデータ入力、インターネットでの情報収集やそのリスト化といった事務的な業務に加え、コールセンター、ミステリーショッパー(覆面調査)なども含まれます。特に、ミステリーショッパーはお客様に扮して店舗に行き、店員の応対品質をチェックする、マーケティングの側面を担う業務です。このように幅広い分野で在宅ワーカーが活躍しています。
在宅ワーカーとのやりとりは、専用のオンラインシステム上で行っています。その中で特に気を付けていることは、抽象的な表現を避けて具体例を出して細かいところまで伝えることです。例えば、「きれいな空の写真を撮ってきてください」という依頼の場合、雲一つない空をきれいとするのか、少し雲がかかっている空でもきれいとするのか、人によって解釈が違います。このため、「写真全体のうち雲の割合は〇割まで」などの具体的な数字を使って明確に伝えることを徹底しています。
在宅ワーカーとは「業務委託契約」を結びますが、直接雇用ではないので労働法の適用外となります。その結果、社会保険料や福利厚生費などを負担する必要がなく、人件費を抑えられることが第一のメリットです。また、業務委託契約は案件ごとに契約を結ぶため、納品物の品質が次の評価につながるという高い意識を持つ在宅ワーカーが多い点も特長です。その結果、納品物の品質が高くなる傾向にあり、企業様にとっての大きなメリットとなっています。加えて、業務委託契約では単発で仕事を依頼できるので、人員のミスマッチが生じた場合でも別の在宅ワーカーに割り当てることができます。このように、柔軟性に富んだ人材の活用が可能な点も在宅ワーカーを活用する大きな強みです。
当社は在宅ワーカーの採用・教育・管理を一括代行する仲介業者として、企業様と在宅ワーカーの間に立ってサービスを提供しています。企業様が直接雇用を行う場合、担当者が採用面接や業務説明、勤怠管理を行う必要がありますが、そういった負担を当社が解消します。結果として、採用・教育・管理にかかるコストを削減できることも大きなメリットです。
一方デメリットとして挙げられるのはコミュニケーション上の課題です。業務委託契約では、仲介業者を通さず直接在宅ワーカーに業務の指示を行うと、業務委託契約であっても、実質的に雇用と同等の状態と見なされた場合、「偽装請負」となり違法となるリスクがあります。こうしたリスクを回避するため、当社のような仲介業者が間に入って在宅ワーカーの指導や業務伝達を代行しています。ただし間に仲介業者が入る分、やりとりが複雑になり、意思疎通に時間がかかることがあります。この点を懸念し「直接やりとりしたい」「スピーディーに対応したい」という理由から、直接雇用やアルバイトを選択される企業様もあります。
私は、アノテーション(AIに学習データを与えるためのラベル付け作業)などのAIの開発にかかわる業務を担当する機会が多いのですが、それ以外にも企業様の担当者が対応しにくいような煩雑なデータ入力業務、コールセンター業務、ライティング業務も請け負っています。アノテーション業務の一例としては、PowerPoint資料の内容を、文字だけでなく表や図も全部書き起こす業務があります。視覚に障害がある方でも理解できるように、資料の内容を音声で読み上げるAIの開発に活用されます。ライティング業務の例としては、企業様の公式ホームページに掲載するブログやおすすめ商品紹介記事、就職・転職サイトに掲載する、求職者から寄せられたお悩みにキャリアコンサルタントが回答する記事の作成などがあります。
仕事をする上で常に心がけていることは、企業様が本当に求めていることを丁寧に理解し、単に依頼内容をこなすだけではなく、プラスアルファの提案を行い、企業様にご満足いただくことです。担当業務の多くがアノテーションやその学習データの収集ですので、AI開発企業との連携を深めて自分自身も最先端技術に関する知識を積極的に吸収していきたいと思っています。